うつ、不安、怒り・・・ネガティブな感情を避ける必要はない


うつ、不安、怒り・・・ネガティブな感情を避ける必要はないこんにちは!
ホリスティック精神科医の浜野ゆりです。

認知行動療法(CBT)では、自分が感じる
ストレスの程度は、客観的なできごと
そのものよりも、受け取る側のものの見方・
考え方によって決まる、という大前提があります。

例えば、商談先を訪問するので急いでいるのに、
乗った電車が人身事故等に遭い、
止まってしまった時。

普通だと「なんてタイミング悪いんだ!」とイライラしたり、
「相手にどう思われるだろう。謝っても
嫌味をいわれたりしたらどうしよう・・・」
などと考えるかもしれません。

すると、事故のため物理的に遅れるという不利だけでなく、
直近の未来への不安緊張が高まり、
前述のようなことを考える前よりも
かなりストレス度が増えてしまってます。

その上、こうした感情状態になると余裕を
失っているので、微妙に不注意になり、

例えば小銭を落としたり、人にぶつかったり、
ぶつかったことで相手と口論になったり・・・
などと、更に余計なストレスを呼び込みかねません。

つまり、自分で自分のストレスを
割り増ししているのです。

そこでCBTでは、このように自動的に
出てくるネガティブな思考(自動思考)を、
より合理的・中立的な思考(合理的思考)に
置き換える練習を重ねることで、

その後はストレスが降りかかっても
「割り増し」をしないようにしたり、
場合によってはかなり「割り引き」が
できるようにしていきます。

前述の例なら、電車に閉じ込められても、
例えば「ラッシュアワーの割には、まっすぐ
立っていられる程度の混み具合の
車両に乗れてよかった」

「少なくとも、携帯を忘れてこなくてよかった!
ともかくすぐ電話できるから」

と考えることができますし、
他の人にぶつかって文句をいわれたとしても

「あっ、そういえば自分は最近、何かと
ぎりぎりの時間で行動することが多くて、
余裕を失っていた。
もっと時間の余裕をもって行動しよう」

などと考えることができれば、
その後はより良い行動習慣を
身につけやすくなります。

ただ、状況によっては、あるいは人によっては、
こうした「ポジティブ」な考え方は
「何か、無理やり自分を説得しようとするみたいで
嘘っぽく、実感がわかない」

という方もおられるかもしれませんね。(※1)

また、いわゆる「ポジティブ思考」を
推奨する本などを読んだ方が誤解をしてしまい、
かえって自分に不利な判断をしてしまう例も
見聞したことがあり、この点は要注意だな、と思いました。

どういうことかというと、ポジティブ思考には

ネガティブ思考をしてしまうと
落ち込みや不安、怒りなどに圧倒されて
合理的な対処行動がしにくくなるから、

もっとポジティブな考え方をすることで
やる気を回復し、必要な対処行動をできるようにしよう
という目的ががあるのですが、

誤ったポジティブ思考をすると、
本来のやるべき行動ができなくなってしまうのです。

例えば上司に手ひどく怒られた場合、
本来のポジティブ思考では

a)上司は自分に期待しているからこそ、
厳しく指導してくれているのだ

b)だから上司に、どのように改善したら良いのか、
自分からより詳しく積極的に聞き出し、
改善策とそれによる結果を提出して、
状況を改善しよう

となるはずなのですが、
誤ったポジティブ思考では

a)までは同じでも
b)で「本当は私のことが気に入ってくれているの
だから、怒られても気にしなければ良い、大丈夫だ」
という考えになってしまうのです。

つまり、「大丈夫」とただ考えているだけで、
これは現実からの逃避に過ぎず、何も現実面の
改善に向けて働きかけ、つまり行動をしないので、

現実はせいぜい不変、たいていは
時間の経過と共に悪化していきます。

前述の例なら、上司がついに忍耐の
限界に来てリストラされる、などです。(※2)

さて、以上の(※1)(※2)のうち、
(※2)は論外なので
(こればかりは、本人が「これではダメだ」と
実感するほど痛い思いをして、考え方を
どう変えるかを模索し始めるまで待つしかありません)、

ここでは(※1)について、
その対処法をお伝えしますね。

例えば、何かストレスフルなできごとが起きて、
不安や落ち込みなどを感じた時、どうするか。

CBTで教える「より合理的な思考」を
ノートに書き出してみたけど、嘘っぽくて
リアリティが感じられないときは、
無理にポジティブに考える必要はありません。

ただ、
不安や憂うつ感から目をそらしたり、
なかったことにして他のことで気を紛らわす

自分が不安や憂うつになった原因を「分析」して
改善法を探る

の、どちらも避ける必要があります。
(「え~、なぜ?」と思われた方は、
過去の記事「うつ病を治すために必要な逆説的観点
をご参照ください。)

代わりに取るべき行動は、
「まずはその感情を全面的に直視し
受け入れ、味わう」

ことです。

これも上述の記事でもご紹介しましたが、
その時感じている不安やうつ気分などの
不快な感情を「否定」「無視」しているうちは、

それらの感情はいつまでもそこに居座り、
あなたを侵食し続けます。

しかし一度それに正面から向き合い、
不安なら不安に対して、

・どんな感覚なのか
(しめつけるような感じ?刺すような感じ?
感じる範囲は、身体のどこ?
その感覚の境界ははっきりしているか否か?
その感覚に動きや強弱があるか?
色は?手触りのイメージは?…といった詳細)

「感じる」ようにすると、不思議なことに、
かえってその不安感は最初よりも徐々に収まっていきます。

スピリチュアルな本などではこの現象を
「ネガティブな感情はあなたを傷つけようと
しているのではなく、あなたに気づいてほしいから、
「不安」という形のサインをあなたに送っている。

だからあなたがきちんと不安に
目を向けてやれば、もはや不安も、
注目を浴びるために華々しく
アピールしてこなくなる」と説明します。

心理学的に考えても、
「そんなことを感じるべきじゃない」と、
無理に感じないふり、考えないふりをしても、

そのもやもやした不安なものは
あなたの内面にいることは変わらないので、
一時的に無視したり抑え込んだりしても、
そのうちまたどこからか噴き出してきます。

ですから、先回りして、きちんと
それに向き合った方が良いのです。

その具体的な向き合い方、すなわちスキル、
その際の心がけ方のコツは、上述の記事 
でもご紹介した下記の本に詳しいですので、一読をお勧めします。

『なまけ者の3分間瞑想法』
(デイヴィッド・ハープ著、創元社)

『うつのためのマインドフルネス実践』
(マーク・ウィリアムス、ジョン・カバットジン他著、星和書店)


浜野ゆり

浜野ゆり の紹介

ホリスティック精神科医。通常の精神医学や心理学の他、心身を癒す分子整合(オーソモレキュラー)医学にもとづく栄養療法や、催眠療法・瞑想・レイキ・アロマさらには占いも習得。これらをフル活用してみなさまの統合的健康と幸せ感獲得のお手伝いをします。
カテゴリー: うつ病   タグ: , , , , , , , , , , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

  • 2017年6月
    « 5月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930