強迫性障害(強迫神経症)の心理は、誰の中にもある


強迫性障害(強迫神経症)の心理は、誰の中にもあるこんにちは!
ホリスティック精神科医の浜野ゆりです。

8月8日の新聞の書籍広告で
『実体験に基づく 強迫性障害克服の鉄則
<増補改訂>』(田村浩二著、星和書店)
が載っていました。

実はこの本の前身は2001年に文芸社
(自費出版社)から出ており、私も
アマゾンで見つけて購入していました。

その書評がこちらです。
強迫性障害の自己治療のために(2)

このように、体験者ならではの
強い確信と、実感のこもった
ニュアンスをもって書かれた本です。

特に冒頭にある「鉄則リスト」が
よくまとまっています。

私がカウンセリングで関わった何人かの
患者さんにも勧めたところ、
やはりこのリストを何度も読み返す、
という方が多かったです。

強迫的な不安は、人間に普遍的な
心理傾向の一つです。

特に現代では仕事上(特に医療、
交通、建築など、安全性が何より
重視される分野)において

「指さし確認」
「ダブル、トリプルチェック」
といったことがマニュアル化され、

繰り返し確認するのは良いことだし
必要である、という価値観が
浸透しています。

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もちろん、それも真実なのですが、
何事もゆき過ぎると、メリットよりも
デメリットの方が大きくなり、

日常生活にも支障をきたすように
なりかねません。

そして「うつ状態」がそうであるように、
強迫症状もどんな精神疾患にも合併します。

たとえば

・子供

子供はまだ自分の感じていることを
言葉として表現する語彙があまりないので

不安の衝動、その不快さを
儀式的な行動やチック、場合によっては
奇声を発するといった行動で発散します。

・統合失調症

うつ病と同様、統合失調症になる前の
人の性格(病前性格といいます)にも
強迫傾向がみられることが結構あります。

・そしてもちろん、強迫性障害

一昔前には「強迫神経症」といわれていた
もので、うつ病や統合失調症の
症状は欠き、強迫症状が主症状の
場合です。

実は私も子供時代、一時
その傾向が
ありました。

初めて北米で暮らすようになった頃、
それまでと全く異なる環境で
小学校に上がり、間もなく適応しました。

同じクラスに親友も2人できて
とても楽しい時期だったのですが、
本人も認識していないレベルで
やはりいろいろ負担感はあったらしく、

変な行動を取っていた記憶が
かすかにあります。

1つは、「6が不吉で7が良い数字」
と思い込み、例えば椅子に座っていて
足をぶらぶらさせたら

「あ、今何回揺らしたっけ?
7回にせねば!」
と数え直したり。

もう1つは、今から考えると
いわゆる神経性頻尿なのですが
ひどいときには5分に1度トイレに
行かないといられないのでした。

幸い、いずれも一過性で
多分半年以内に消えましたが、
あの理不尽な焦り感、不安感
今でも覚えています。

それに基本性格はそんなに変わる
ものではないので、現在でも
時には戸締りなど、複数回
確認してしまうこともあります。

特に疲労や睡眠不足が続いていたり
何か懸案事項がのしかかっている
ときには、油断すると確認したく
なりますので、自制します。

で、強迫症状というのは
一見極端で「おかしい」行動なので
それをわずらったことのない人には
理解不能に感じられがちですが、

実際には誰の中にもその芽はあり、
ちょっとしたきっかけで(一時的な
ものを含めれば)誰でも
体験しうるものです。

例えば、こんなことがありました。

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私が大学病院勤務の頃、病棟で
看護師さんたちが備品の在庫整理を
したしたところ、

棚の奥から
検尿用の紙コップが数十個、
出てきました。

100個単位くらいでパックされているの
ですが、既に開封され、おそらく
2-3年経っているので、検尿には
もう使えません。

しかし日常的なレベルでは別に
不潔ではなく、捨てるのも
もったいない
ということで、

仕事を終えた看護師さんと
医師たちでその夕方、買ってきた
缶ビールとおつまみで、
医局でのプチ宴会となりました。

ビールを飲む器はもちろん、
消費期限を過ぎた検尿コップ。

白くて、内外の壁に「50ml」
「100ml」とか容量が印刷してあり、
底には尿の濁り具合を視認しやすく
するための三重丸模様が入っている物です。

お互いにビールを注ぎ
「いやあ、こうして見ると
尿そっくりだなあ~」

などと笑いながら、楽しく
飲みました(笑)。

しかし、もしこれがガラスコップで、
グラスを運んできた人が

「病棟で患者さんが間違って
コップに排尿しちゃったのが
あったのだけど、オートクレーブ(※)
滅菌(※)したから大丈夫」

といったら、どうだったでしょう?
それでもまあ、医療関係者なら
「滅菌」のすごさをわかっているので、

ビールを飲みはするでしょうが、
あまり良い気分はしないでしょうね。

それは「頭ではわかっているけど、
何か尿がついていそうで、汚い気がする」
からです。

この、
・頭では大丈夫だとわかる
・でも感情面で納得できない、嫌だ
・だから~し直したい

というのが強迫性不安の心理です。
(この「~」のところに「手を洗うこと」
「戸締り」などが入ります)

————————————
(※)オートクレーブ、滅菌
「滅菌」とは「除菌」「消毒」「殺菌」よりも
はるかに強力で徹底的な、菌をなくす

方法で、菌がゼロの状態です。

オートクレーブとはこの滅菌状態を
実現するための機器で、高温・高圧下に
一定時間置くことで菌をゼロにします。

外科用の手術道具など、「菌がゼロ」
にすることが必須の医療器具に
用いる
方法です。
————————————

この「嫌な感じ」、そのイメージの
影響力がうんと増大してしまったものが
強迫性障害なのです。

上記の本もおそらく、自費出版ながら
継続的に売れているのでしょう
(実際、2009年に私が買った本も
既に第4刷でした)。

それで、星和書店という、精神・心理学
関係では大御所の出版の一つから今回、
出版されることになったのでしょうね。

しかも「鉄則」も少し補強されたらしく、
今回の増補改訂版では40個になっています。
ページ数も2倍強に増。

なお、冒頭の書評のほか、もう1冊
強迫性障害の自助本についても
過去記事に書いています。

今回の「鉄則本」の書評の理解の
前提にもなっていますので、
下記も併せてご一読いただけると
幸いです。

強迫性障害の自己治療のために(1)


浜野ゆり

浜野ゆり の紹介

ホリスティック精神科医。通常の精神医学や心理学の他、心身を癒す分子整合(オーソモレキュラー)医学にもとづく栄養療法や、催眠療法・瞑想・レイキ・アロマさらには占いも習得。これらをフル活用してみなさまの統合的健康と幸せ感獲得のお手伝いをします。
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